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友人達のメロディー
リアル・ファイト
少し古い話題なのですが、去る4月29日、日本武道館で全日本柔道選手権がありました。
大会前の注目は、「井上康生の復活なるか?」「鈴木桂治のリベンジなるか?」「石井慧の連覇なるか?」といったトコロでした。

結果は、
     <準々決勝>
          ○石井 慧 ― 庄司武男×
          ○片渕慎弥 ― 棟田康幸×
          ○鈴木桂治 ― 高井洋平×
          ○井上康生 ― 泉 浩×

     <準決勝>
          ○石井 慧 ― 井上康生×
          ○鈴木桂治 ― 片渕慎弥×

     <決勝>
          ○鈴木桂治 ― 石井 慧×

    鈴木桂治が昨年のリベンジを果たし、見事優勝。
    結果は「判定勝ち」なものの、内容的には完勝。
―といったものでした。


この中で、ひとつだけ 非常に面白い試合がありました。
それは準々決勝の『庄司武男vs石井慧』です。まるで注目されてはいなかったこの試合。
ハッキリ言って「石井に対してどこまで庄司が粘るか?」ということだけがポイントでした。

で、いざ試合が始まってビックリ。庄司が石井に対して背中を向けながら、「半身(はんみ)」というよりも「3分の2身」くらいの体勢で相対するのです。
「組まれたら負け」という力関係から、とにかく石井に道着を持たせない作戦です。
ただし、見ていると奇妙な姿で、柔道の持つ 技の面白さは全く出ません。
当然 消極的という理由で「指導」を喰らいます。それでも庄司は 奇異な姿をやめません。
「指導」の次は、有効に相当する「注意」が来ますが、まだ「警告」「反則負け」まで余裕があります。

会場が妙な雰囲気に包まれていることが 画面からも伝わってきます。
TV解説の篠原も「こんなのは柔道じゃない。ふざけるな」というニュアンスの解説をしています。
だけどやっぱり庄司は その戦い方をやめません。
結果、時間切れで、注意を受けた庄司が判定負けです。
「あたりまえだ」 そんな空気が 武道館を満たします。



この試合、どう評価したらイイのでしょうか?
確かに「柔道らしくない」し、「見ていて技が出ないのでつまらない」です。
篠原は常に「一本勝ちしてこそ柔道」というスタンスで戦い抜いてきた人間なので、
彼には「違うよ」という資格はあるかと思います。
だけど、あれを「こんなの柔道の試合じゃない」とは言えないんですよねえ。
実際、柔道の試合として成立してるんですし。

これがダメなら、相手に技を出させないように 手を思い切り突っ張って、腰を引いて、頭をつけて、なんていうのも 全然美しくないし 面白くありません。
外国人選手が日本人選手と戦う場合なんて、みんな似たようなもんじゃん。
だいいち この試合に判定勝ちした石井だって、準決勝の井上康生には 「掛け逃げ作戦」で判定勝ちを拾っているんですから。
それもダメなら、もう、今の柔道 全否定ですよ。

庄司は立派に戦ったんです。勝つためのリアリズムを追求し徹底したのです。
全日本選手権でベスト8まで勝ち進むほどの実力を持った選手が、非難轟々になるのを承知の上で、必死に闘ったのです。
格好悪い姿でありながらも、恥も外聞も無く、一瞬のチャンスを探して、裏投げなんかを狙って動き回るのです。
アリ戦で猪木が表現した姿ですよ。

そりゃあ好みからすると、僕も好きではありません。だけど、認めます。敬意を払います。
いわば「カウンター柔道」。
だけど、掛け逃げでポイントを稼ごうとする姿よりは遥かにアグレッシブです。
あの試合を、あの庄司の姿を、日本の柔道界は キチンと認めなければいけません。
認めた上で、「それでイイのか?」「他に勝つために方法は無かったか?」「選手としての庄司にプラスになるのか?」 みたいなことを論ずるべきです。
じゃなきゃあ、国際舞台ではこれからも大変な思いを繰り返すばかりですよ。
あの古賀稔彦だって、オリンピックの舞台で ソ連のテナーゼに変則組み手でヤラレたんです。
こういう類の真剣勝負を勝ち抜くことができずに、腕力で勝り、マリーシアに勝る外国人選手に勝てるものか!


どーしても それがイヤなら、ルールを変えなきゃ。
「全日本選手権ルール」みたいのを作って。
時間は30分。判定なし。ポイントは有効以上。決着が付かない場合は以降サドンデス。寝技は腰から下への攻撃も可。・・・・等々。
う~ん、これは観てみたいかも。



ところで、期待していた井上康生は 準決勝で若手の石井に判定負けでした。
さすがにケガの影響がありありでしたね。
大胸筋を断裂した右側がつり手では、石井の体をコントロールするのには不充分のようでした。
そりゃそうだ。幾らリハビリで回復したとは言え、100%であるわけがありません。残念です。
だけど、よくここまで帰って来たものです。その精神力を含め、やっぱバケモンですわ。
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by janometei | 2007-05-22 22:10 | 蛇乃目亭notes